「院内集会」入管法改定案による在留審査手数料の過大な引き上げにNO!が開催
- 川西ケンジ

- 2 日前
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2026年4月1日(水)12時から13時にかけて、衆議院第一議員会館多目的ホールおよびオンラインにて、「院内集会」入管法改定案による在留審査手数料の過大な引き上げにNO!が開催された。本集会は、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の主催のもと、外国人技能実習生権利ネットワークや難民支援団体、労働・人権関連の複数団体が共催し、入管法改定案に盛り込まれた在留審査手数料の大幅な引き上げについて、その問題点や当事者への影響を広く共有し、社会に訴えることを目的として行われた。私もオンライン(Zoom)を通じて本集会に参加し、会場で交わされる議論や、当事者・支援団体・関係者からの切実な声に耳を傾けた。
集会の冒頭では、司会進行を務めた移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長の山岸氏が開会を宣言し、本集会が3月10日に政府によって閣議決定され国会に提出された入管法改定案、とりわけ在留審査手数料の大幅な引き上げに反対する声を国会へ届けるため、急遽開催されたものであることを説明した。また、本集会は「ヘイトにNO!全国キャンペーン」の呼びかけ団体(計10団体)との共催による取り組みの一環として実施されたことも紹介され、オンラインと対面を合わせて事前に200名を超える参加申し込みがあったことが報告された。
さらに、移住連が3月16日付で発表した声明にも触れながら、日本で暮らす外国人にとって生活に不可欠な在留資格手続きの費用が、十分な説明もないまま急激に引き上げられようとしている現状に対し、強い反対の立場が示された。限られた1時間の中で、日本政府の移民政策の課題、今回の法案が抱える問題点、外国籍当事者の声、そして日本社会全体への影響を明らかにし、国会における十分な審議を求めていく場としたいとの趣旨が述べられ、集会は緊張感のある空気の中で幕を開けた。
会場には、法案に懸念を示す国会議員らも相次いで駆けつけ、連帯と応援のメッセージを寄せた。社会民主党のラサール石井参議院議員、福島みずほ参議院議員、立憲民主党の打越さく良参議院議員、石垣のりこ参議院議員、岸真紀子参議院議員、日本共産党の吉良よし子参議院議員、山添拓参議院議員、そして中道改革連合の有田芳生衆議院議員が登壇し、それぞれの立場から今回の入管法改定案、とりわけ在留審査手数料の大幅な引き上げに対する懸念や、外国籍住民の権利擁護、共生社会の実現に向けた姿勢を表明した。与野党を超えて複数の議員が参加者に向けて直接メッセージを送ったことは、本問題に対する国会内での関心の広がりと、市民社会との連携の強さを印象づける場面となった。
社会民主党のラサール石井参議院議員は挨拶の中で、今回の入管法改定案を、2021年以降続いてきた入管政策強化の流れの延長線上にあるものだと位置づけた。特に、在留資格変更手数料を1万円から10万円へ、永住許可申請手数料を1万円から30万円へと大幅に引き上げる案や、経営管理ビザに関する資本金要件の引き上げについて言及し、外国籍住民に過度な負担を強いる内容であると強く批判した。
また、こうした政策の背景には「日本人ファースト」といった排外的な言説とヘイトが共鳴しているとし、制度的差別につながりかねないとの懸念を示した。さらに、自身が初当選直後から強制送還や外国籍住民の人権問題に取り組んできた経緯を紹介し、これらの課題に向き合うことは国会議員としての使命であると述べた。
現在の国会情勢については、衆議院では厳しい状況が続く一方、参議院ではなお議論の余地があるとし、市民による国会前集会や新宿でのデモにも触れながら、「外国人と一緒に生きよう」「みんな同じだ」といった共生を求める声が広がっていることに希望を示した。最後に、日本社会をより多様で豊かなものにするためにも、今回の入管法改定を止めていきたいと訴え、参加者に連帯を呼びかけた。
立憲民主党の打越さく良参議院議員は挨拶の中で、昨年夏の参議院選挙を戦い抜き、議席を取り戻した一方で、「日本人ファースト」を掲げる勢力が大きく伸長している現状に強い危機感を示した。法務委員会に所属する立場から、本来国会議員の役割は、誰一人取り残さず、すべての人の人権と多様性が尊重される共生社会の基盤を築くことにあると述べた。
また、国会審議の現場では、ヘイトスピーチとも受け取れる発言が見られる状況に懸念を示し、先週の参議院法務委員会でも法務大臣に対し、このような風潮に明確に「NO」を示すべきだと求めたことを紹介した。特に、政府側が用いる「不法外国人ゼロプラン」といった表現について、「不法外国人」ではなく、国連でも用いられる「非正規滞在」や「未登録の外国人」といった言葉を使うべきであり、まずは言葉遣いから見直す必要があると指摘した。
さらに、ヘイトスピーチ解消法についても、より一貫性のある制度として整備すべきだと訴えたうえで、今回の在留審査手数料の引き上げについて、法務省が「実費負担」であり差別ではないと説明していることに異議を唱えた。今回の法改正は、日本で暮らす外国籍住民が共生していく基盤をより困難にするものであり、あってはならない改正であると強く批判した。そのうえで、市民が声を上げていることを「本当に心強い」と述べ、最後に「ともに戦ってまいりましょう」と参加者に連帯を呼びかけた。
社民党の福島みずほ参議院議員は、今回の在留審査手数料の引き上げについて、金額の上昇幅があまりにも急激であり、その根拠も十分に示されていないと強く批判した。特に、家族全員分の更新や申請が必要な場合には負担額が非常に大きくなり、結果として「お金のない外国人は日本にいなくてよい」と受け取られかねない制度になっているとの懸念を示した。更新費用を支払えなければ在留継続が難しくなり、帰国を余儀なくされる可能性があることから、極めて深刻な問題であると訴えた。
また、社民党としてラサール石井議員とともに、外国人事業者に関する資本金要件の大幅引き上げについても法務省と交渉してきたことを紹介した。現行の500万円から3年間で3000万円へと引き上げる案について、現在日本で営業を続けているレストランや飲食店、小規模事業者にとっては極めて厳しく、長年日本で事業を営んできた外国籍の経営者に対し、実質的に撤退や帰国を迫るものになりかねないと指摘した。
さらに、この制度変更にあたり、実際にどのような影響や被害が生じるのかについて、十分なヒアリングや検証が行われていないことも問題視した。現場の実情を踏まえないまま制度だけを厳格化する姿勢に疑問を呈し、今回の手数料引き上げと資本金要件の強化は、いずれも外国籍住民や事業者に対する過度な負担であり、嫌がらせに近い性質を持つものだと厳しく批判した。
その一方で、日本人のパスポート更新費用が引き下げられている点にも触れ、外国人に対してのみ負担を増やす現在の政策は不公平であると指摘し、「これはおかしい」と声を上げ続けていく必要があると強調した。最後に、法務省との交渉を継続し、こうした制度の見直しを求めていく決意を示した。
日本共産党の吉良よし子参議院議員は、今回の在留審査手数料の大幅な引き上げについて、「まともな理由もない理不尽で不合理な値上げ」であると厳しく批判し、強く反対する姿勢を示した。特に、家族滞在の在留資格を持つ留学生やその家族が、奨学金制度をはじめ、本来受けられるべき支援から排除されている現状に触れ、在留資格の違いによって支援の有無が左右されること自体が大きな問題であると訴えた。
また、前日に参議院本会議で可決された高校無償化関連法案にも言及し、その制度から留学生や外国人学校の生徒が除外されている点を問題視した。さらに、日本の高校に通う生徒であっても、家族滞在や定住者の在留資格を持つ場合には、「将来日本に定住する意思」の確認を支援要件とする差別的な条件が盛り込まれていることを厳しく批判した。日本国籍の生徒には同様の条件が課されないことから、これは実質的に国籍による差別であると指摘した。
さらに、この差別的要件を撤廃する修正案を提出したことも紹介し、仮に対象を拡大した場合に必要となる追加予算は34億円程度にすぎないと説明した。その程度の予算を理由に支援から外国籍の子どもたちを排除することは到底容認できないと述べ、残念ながら修正案は否決されたものの、今後も在留資格や国籍による差別を許さない立場で取り組んでいく決意を表明した。
立憲民主党の石垣のりこ参議院議員は、会の開始前まで入管庁から今回の入管法改正案に関するレクチャーを受けていたことを明かし、その場で政府側と厳しいやり取りを重ねていたため、会場への到着が遅れたと説明した。特に、在留審査手数料を一気に10倍、永住許可申請手数料を30倍へと引き上げる根拠について、「昭和56年以来改定していない」という説明だけでは到底納得できないと強く問題提起した。
人件費や物価上昇など、具体的な積算根拠を示したうえで説明すべきであり、「総合的に判断した」という曖昧な説明では説得力に欠けると指摘した。また、海外の制度と比較して日本の手数料水準を引き上げるという入管庁の説明についても、それぞれの国で外国人住民に対してどのような補償や行政サービスが提供されているのかを含め、比較可能な形で明示すべきだと主張した。
単に他国の金額だけを引き合いに出すのではなく、負担に見合う制度や支援の内容も含めて、国民と当事者が納得できる資料を示す必要があると述べ、今回の改定案については説明責任が著しく不足しているとの認識を示した。最後に、参加者とともに引き続き声を上げていきたいと連帯を呼びかけた。
立憲民主党の岸真紀子参議院議員は、衆議院選挙後の新たな党内体制の一環として、党内において「多文化共生社会プロジェクトチーム(PT)」の立ち上げに向けた打ち合わせを行っていたことを報告した。今回の在留資格手数料の引き上げ問題については、党内の法務部門会議を中心に打越さく良議員が精力的に取り組んでいることに触れつつ、この問題にとどまらず、外国籍住民を取り巻く課題は多岐にわたるとの認識を示した。
また、現政権下において排外主義的な風潮があまりにも露骨になっていることに強い危機感を抱いていると述べ、こうした社会的空気に対して政治が正面から向き合う必要性を強調した。さらに、今後は3党合同による多文化共生プロジェクトチームの立ち上げも予定されていることを明らかにし、今回の手数料問題を含め、多文化共生社会の実現に向けて継続的に取り組んでいく決意を示した。
中道改革連合の有田芳生衆議院議員は、まず現在の衆議院法務委員会の体制について言及し、選挙前には立憲民主党から9名の委員が所属していたものの、選挙後は3名にまで減少した現状を報告した。その一方で、外国籍住民の権利や差別問題をめぐる課題は何ら変わっておらず、4月後半から本格化すると見込まれる法務委員会での審議において、今回の手数料引き上げ問題も含めて徹底的に取り組んでいく決意を示した。
また、今回のテーマとは直接異なると前置きしたうえで、今年がヘイトスピーチ解消法成立から10年の節目にあたることにも触れた。理念法として一定の限界を抱えながらも、川崎市で罰則付き条例が制定されるなど大きな成果も生まれてきたと評価し、その流れを踏まえて「包括的差別撤廃法を求める議員連盟」として、今年中に罰則規定を伴うヘイトスピーチ解消法の全面改正案を提出したい考えを明らかにした。
特に、川崎市の先行事例をモデルとして国の法律にも罰則を盛り込む方向で検討を進めていく方針を示し、今後の支援を呼びかけた。
日本共産党の山添拓参議院議員は、到着が遅れたことへのお詫びを述べたうえで、今回の在留審査手数料引き上げについて、外国人政策の財源を「受益者負担」として外国籍住民に求める政府の考え方に強い疑問を示した。行政サービスや多文化共生政策の受益者は外国籍住民に限らず社会全体であり、その費用を特定の立場の人々に集中的に負担させる今回のやり方は、極めて安易かつ不合理であると厳しく批判した。
また、このような制度設計は、社会の中に存在する外国人に対する差別感情をさらに煽り立てかねない不当なものであると指摘し、こうした動きに対して断固として反対の論陣を広く張っていく必要があると訴えた。さらに、現在の日本政治に問われているのは、一人ひとりの尊厳にどのように向き合うかという根本的な姿勢であると述べ、憲法改正の議論が進む中だからこそ、むしろ憲法が掲げる個人の尊厳を正面から守り主張する政治へと転換していくべきだとの考えを示した。最後に、その実現に向けて参加者とともに力を合わせていきたいと呼びかけた。
続いて、政府の外国人政策全般、とりわけ「秩序ある共生政策」の課題について、移住連共同代表理事であり国士舘大学教授の鈴木江里子氏が報告を行った。
鈴木氏はまず、「秩序ある共生社会」という言葉がすでに社会に定着しつつある現状に触れ、この表現が最初に用いられたのは昨年5月、自民党内に設置された特命委員会の名称であったと説明した。その委員会では、多数の外国人を受け入れるグローバル化した社会を前提とした制度設計になっていないことが問題視されている一方で、「では、そのような社会設計がなされてこなかった責任は誰にあるのか」と問いを投げかけた。
1980年代後半以降、いわゆるニューカマーと呼ばれる外国人住民が増加してきたにもかかわらず、その増加に対応する環境整備を長年自治体に押し付けてきたのは国であると指摘した。さらに、2023年に公表された将来推計では2066年に外国人人口が1割、2067年には10.2%に達するとされているものの、その推計は外国人増加を低く、日本人減少を少なく見積もっており、実際には1割を超える時期はより早まる可能性が高いとの見方を示した。
そのうえで、本来であれば国が早い段階で制度整備を進めるべきであったにもかかわらず、それを怠った責任を顧みないまま、現在は「秩序」や「ルール」を外国人側に押し付けているのが政府の現状であると厳しく批判した。
また、「秩序ある共生社会」という言葉は石原政権期から用いられてきたことや、昨年の骨太の方針においても「外国人との秩序ある共生社会の実現」が閣議決定されたこと、その後内閣官房に事務局が設置された経緯にも言及した。
さらに、昨年7月の参議院選挙で「日本人ファースト」を掲げる勢力が躍進したことが、自民党に対してより強い規制・管理・排除政策を進める政治的圧力を与えたのではないかと分析し、保守票の流出を防ぐために、より強い排外的政策が進められているとの見方を示した。
高市政権発足後には、従来の関係閣僚会議が再編され、そのもとで今年1月、衆議院解散直前に新たな総合的対応策が示されたことにも触れた。従来の対応策にも課題はあったものの、少なくとも環境整備の視点は残されていた一方で、新たな対応策では一部外国人の問題が強調され、それへの対応が政策の中心に据えられていると指摘した。
具体的には、AI等の技術を活用した情報分析を在留審査に用いることで審査の厳格化が進められていること、永住資格、帰化、国籍取得のハードルがさらに引き上げられる方向が示されていること、そして今回問題となっている在留審査手数料の大幅引き上げに加え、出産一時金や生活保護など、外国人の権利そのものの見直しにまで議論が及んでいると説明した。
そのうえで、「国民の安心・安全」のためとされる秩序ある共生社会に対し、「では外国人の安心・安全はどのように保障されるのか」と問題提起した。
鈴木氏は、外国人にとっての安心・安全には大きく三つの要素が必要であると述べた。第一に、安定した法的地位の確保である。活動制限のある在留資格からより自由度の高い資格へ、期限付きの資格から永住へ、さらには必要に応じて日本国籍取得へと進めることが、長く日本で暮らしたい人々にとって重要な安定につながるとした。
第二に、権利の拡大である。1970年代末から1980年代にかけて国際人権規約や難民条約の締結に伴い社会保障分野で一定の権利拡大があったものの、それ以降はほとんど進展がなく、むしろ生活保護などに関しては権利後退の議論すら進んでいると指摘した。
第三に、差別や偏見のない社会環境である。現在も住居差別、雇用差別、就職における不利益、さらにはデマやヘイトスピーチが存在し、国のトップに立つ人物ですら誤情報を訂正・謝罪しない現実があると述べた。
さらに、今回の手数料問題の前提として、永住資格と国籍取得をめぐる現状についても説明した。2024年の法改定により永住資格取消制度が導入され、その後のガイドライン改定によって永住取得のハードルが著しく上がったこと、2010年代半ば以降すでに許可率が低下しており、外国人居住者数が増加しているにもかかわらず毎年の許可者数は伸び悩んでいることを挙げた。
また、帰化についても厳格化が進められており、これまで実質5年以上とされてきた要件が、法改正を伴わない形で10年以上へと引き上げられつつあることや、すでに申請中の案件にも新基準が適用される可能性があることを問題視した。
加えて、日本が依然として血統主義を採用している点にも触れ、ヨーロッパ諸国のように一定条件下で第二世代に国籍を付与する制度とは異なり、日本では生まれ育っても外国人のまま残される構造があると指摘した。
その結果、永住や国籍取得というゴールに到達できない人々が、更新のたびに手数料を支払い続ける「手数料ループ」の中に置かれてしまっている現実を強調した。
最後に鈴木氏は、30年以上にわたり必要な環境整備を怠ってきた責任は政府にあると改めて指摘し、その責任を果たさないまま社会問題を一部外国人へ押し付ける現在の政策は極めて無責任であると批判した。
本来必要なのは、言語、生活習慣、宗教など多様な文化背景を前提とした法制度と社会環境の整備であり、外国人の安心・安全を犠牲にして規制・管理・排除を強化しても、国民全体の安心や安全にはつながらず、むしろ差別と分断を深めるだけであると述べた。
そして、デマやヘイトスピーチに対して国が毅然と対応し、「ともに生きる社会」に向けた明確なメッセージを発するべきであると訴え、現在進められている「秩序ある共生社会」はその方向とは大きく異なっていると問題提起して報告を締めくくった。
続いて、今回の入管法改定案の具体的な問題点について、移住連理事であり弁護士の鈴木雅子氏が報告を行った。
鈴木氏はまず、今回の入管法改定案には大きく二つの柱があると説明した。一つはJESTA(電子渡航認証制度)の導入であり、これは査証免除国から来日する人々を対象に、入国前審査制度を新たに設けるもので、令和11年3月31日までの施行が予定されている。もう一つが、今回の集会でも最大の論点となっている在留審査手数料の大幅な引き上げである。
現行法では、在留資格の変更・更新・永住許可に関する手数料の上限は法律上1万円までとされているが、改定案では変更・更新を10万円まで、永住許可を30万円までとし、具体的な金額は政令で定める仕組みへ変更されると説明した。また、法案には、手数料額を決定する際の考慮要素として、実費だけでなく、外国人の適正な在留確保に要する事務費用、適法に在留する外国人の安定的・円滑な在留支援費用、出入国在留管理環境の維持費用、さらに諸外国の同種手数料の額を勘案する旨が盛り込まれていることにも言及した。
一方で、経済的困難やその他特別な事情がある場合には、政令で定める範囲で減額・免除も可能とされているものの、その対象範囲は極めて不透明であると指摘した。特に永住許可については一定の記載があるものの、一般的な更新や変更手続きについて、誰がどの程度減免の対象となるのかは現時点ではほとんど見えていないと述べた。
さらに、今回の最大の問題点として、引き上げ幅の過大さと急激さを強く批判した。手数料は昨年4月にすでに改定されたばかりであり、通常の更新・変更が4,000円から6,000円へ、永住許可が8,000円から1万円へ引き上げられた直後である。それにもかかわらず、わずか1年も経たないうちに、再び何倍、場合によっては何十倍もの引き上げが予定されている点を問題視した。
特に、在留期間が3か月単位の人々にとっては、更新のたびに高額な費用負担が発生し、年間では極めて重い負担になる可能性があると説明した。さらに、家族を伴って生活している場合には、一人増えるごとに負担が積み上がるため、家庭全体に与える影響は一層深刻になるとの懸念を示した。
また、その理由づけについても不明確であると厳しく指摘した。政府は「秩序ある共生社会の実現」や「受益者負担」の観点から外国人に相応の負担を求めるとしているが、日本人と外国人を区別し、外国人全体を一括りにして受益者と見なす議論は極めて粗雑であると批判した。
さらに、報道ベースでは、この急激な引き上げ幅は入管庁自身の想定を超えており、むしろ財務省側の財源確保の意向が強く反映されているとの見方もあることに触れ、そうであるならば「受益者負担」という説明自体が成り立たなくなる可能性があると述べた。
加えて、具体的な金額設定を政令に大きく委ねている点についても問題視し、「これほど広範に使途が拡張されるのであれば、実質的には税に近い性格を持つのではないか」と疑問を呈した。法律で大枠のみを定め、詳細をすべて政令に委ねる手法の妥当性にも強い疑念を示した。
特に深刻な影響を受ける層として、家族帯同者、所得の少ない人々、日本に長く暮らしてきた外国籍住民、難民認定者および難民申請者を挙げた。所得の低い人ほど在留期間が短い傾向にあり、頻繁な更新を求められることから、継続的に高額な費用を支払えるのかという重大な問題が生じると指摘した。
また、日本人であれば生活に不可欠な行政手続き費用が1年で何十倍にも跳ね上がることは通常考えられないにもかかわらず、それが外国籍住民に対してのみ導入されようとしている点について、「政治的に意思表示しにくい立場の人々を狙い撃ちしている構造がある」と強く批判した。
最後に鈴木氏は、この法改定案を単独の問題としてではなく、近年相次ぐ排外的政策の流れの中で捉える必要があると訴えた。2023年の改定入管法以降、まず非正規滞在者を対象とした厳格化が進み、その後、正規滞在者、さらには永住や帰化といった本来のゴールにまで規制強化が及んでいると分析した。
非正規滞在者には「ゼロプラン」による排除圧力がかけられる一方で、正規滞在者に対しても永住・帰化のハードルが引き上げられ、さらに更新手数料まで大幅に値上げされることで、人々が長期にわたり不安定な状態に置かれ続ける構造になっていると述べ、「なんとかこの流れを止めたい」と強く訴えて報告を締めくくった。
外国籍当事者からのアピールでは、まず陸さんが登壇し、自身の経験をもとに、在留資格制度が外国人の日常生活や将来にどれほど深く関わっているかを訴えた。
中国出身の陸さんは、日本に来て約9年になり、現在は大学に通っていると自己紹介した。これまで「家族滞在」の在留資格で日本で暮らしてきた経験を振り返り、その中でアルバイトをするためには「資格外活動許可」の取得が必要であり、その手続き自体も一つの負担であったと語った。
特に、「家族滞在」や「留学」の在留資格を持つ学生は、週28時間という就労制限の中で生活しているものの、その範囲内の収入だけでは学費や生活費を賄うことが難しい現実があると指摘した。自身もコンビニエンスストアで4年間アルバイトを続けてきた経験があり、周囲の留学生の中には、生活費と学費を賄うために夜勤で働き、そのまま朝に学校へ向かう生活を続けている人も少なくないと述べた。
こうした状況は決して一部の例外ではなく、多くの留学生が直面している現実であり、本来は学業を第一に考えるべき学生が、生活のために過度に働かざるを得ない現状には大きな課題があると語った。また、それが学業のみならず健康や将来のキャリアにも影響を及ぼしかねないとの懸念も示した。
さらに、大学進学前に経済的理由から奨学金の利用を検討したものの、「家族滞在」の在留資格では利用できなかった経験にも言及し、同じ日本で学ぶ学生でありながら、在留資格の違いによって受けられる支援に大きな差があることに疑問を感じたと述べた。
そのうえで、すでに経済的・精神的負担が大きい中で、さらに在留手続きの手数料が引き上げられることに強い不安を抱いていると訴えた。在留資格の更新や申請は、日本で生活を続けるために避けることのできない手続きであり、その費用増加は生活に直接的な影響を及ぼすと強調した。特に家族全員で暮らしている場合には、一人分ではなく家族全体の負担となり、その重みはさらに増すと述べた。
また、日本社会では多くの分野で人手不足が課題となる中、すでに日本で学び、働き、暮らしている外国人に過度な負担を課すことは、社会全体にとっても損失につながるのではないかと問いかけた。
12歳で来日し、今年で21歳を迎える陸さんは、日本で過ごした9年間を「とても充実した時間だった」と振り返った。当初は不安も大きかったが、日本人や他国出身の人々との出会いを通じて多くの友人ができ、日本は家族にとっても自分にとっても「第二の故郷」であり、大切な居場所になったと語った。
家族とともに永住許可を取得し、現在は「永住者」として生活していることにも触れ、外国人も日本社会の一員として安心して学び、働き、暮らし続けられる環境を守ってほしいと訴えた。
続いて登壇したマオさんは、自身の家族の現状を通して、手数料引き上げが生活に直結する問題であることを切実に語った。
ラオス出身のマオさんは、ラオス難民と結婚し、日本に住んで26年になると話し、現在は永住資格を持っていることを説明した。約15年前にシングルマザーとなり、5人の子どもを育てながら、スーパーで弁当を作る仕事を続けているという。
現在は上の2人の子どもも働いて家計を支えているものの、下の子どもたちはまだ高校生、中学生、小学生であり、生活は「ギリギリ」の状態であると率直に語った。
自身と上の3人の子どもは永住資格を持っている一方で、下の2人は定住資格で暮らしており、今年の秋にその2人の永住許可申請を準備していたところ、申請費用が20万円から30万円に引き上げられるという話を聞いたと述べた。
子ども2人分で40万円から60万円にもなる負担について、「私たちには絶対に無理です」と訴え、同じ家族、同じ子どもでありながら、経済的理由によって永住資格の取得が困難になる現実に深い悲しみをにじませた。
また、下の子どもたちも日本の学校で懸命に学んでいるにもかかわらず、定住資格のままでは将来希望する仕事に就けない可能性があることにも不安を示した。
そのうえで、「永住ビザは大事です。私たちのような家族や子どもがいることをどうか分かってください」と、切実な言葉で理解を求めた。
続いて、外国人支援団体からのアピールとして、レニー・トレンティーノさん(カラカサン〜移住女性のためのエンパワメントセンター)が登壇し、在留審査手数料引き上げ案に対する反対声明を読み上げた。
声明では、3月14日に現政権下の外国人政策をテーマに開催されたフォーラムにおいて、52名を超えるフィリピン人参加者を中心に、日本人参加者も交えて議論が行われたことが紹介された。その中で共有された最も大きな声が、「在留審査手数料の引き上げに反対する」というものであったと報告された。
参加者からは、今回の制度変更が、移住者本人だけでなく、その家族、とりわけ安定した在留資格を必要とする扶養家族を抱える世帯に対して、生活上の困難をさらに深刻化させるのではないかという強い懸念が示された。
とりわけ問題視されたのは、ビザ更新に最大10万円、永住許可申請に最大30万円という大幅な引き上げ案である。声明では、この金額設定が、高度人材といわゆるブルーカラー労働者との間の格差をさらに拡大させるおそれがあると指摘された。
また、日本社会を支える重要な労働力であるにもかかわらず、技能労働者や低所得層の移住者が軽視されているという印象を社会に与えかねない点についても、強い懸念が示された。
特に低所得世帯や扶養家族を持つ移住者にとって、この引き上げは深刻な経済的負担となる可能性が高く、在留審査手数料は、移住者の収入や実際の生活状況を反映した、公平性のある制度であるべきだと訴えた。
さらに、移住者はすでに税金や社会保険料を納め、日本社会に貢献している以上、なぜ追加的な負担を外国人のみに求めるのか、その必要性と根拠を政府は明確に説明すべきであると求めた。
声明では、日本人メンバーからも「外国人だけが不公平に扱われるべきではない」という意見が寄せられたことが紹介され、日本国内ではこうした制度変更案自体が十分に知られていない現状にも言及した。
日本の賃金上昇が緩やかである一方、生活費は急速に上昇し続けている現状において、このタイミングでの大幅な手数料引き上げは不合理であり、差別的であるとの認識が示された。
最後に声明は、ビザ更新、在留期間変更、永住許可申請にかかる高額な費用が、すべての移住者が日本社会において果たしている不可欠な役割を無視し、高度人材と現場労働者との格差をさらに深刻化させるおそれがあると強く警鐘を鳴らした。
そのうえで政府に対し、在留資格関連の手数料制度が公正かつ透明であり、移住者の現実の生活状況を反映したものとなるよう見直すこと、さらに外国人居住者と日本人市民の双方を含めた開かれた対話の場を設けることを強く求め、アピールを締めくくった。
プログラムの終盤では、難民支援の現場からの報告として、生田志織さん(難民支援協会)が登壇した。日々、日本へ逃れてきた難民申請者を支援する立場から、今回の在留審査手数料引き上げ案に対する強い懸念を示した。
生田さんによれば、難民支援協会には毎日10人から15人ほどが相談に訪れ、法律相談に加え、食料提供や住居支援など、生活そのものを支える支援を行っているという。その現場感覚から見ても、今回の手数料引き上げは、難民申請中の人々にとって過度な負担となる可能性が高いと訴えた。
特に強調されたのは、難民申請者に特有の在留資格更新の実態である。難民申請そのものは無料であっても、多くの申請者は入国時に持っていた短期滞在資格を更新したうえで申請手続きを進める必要があり、その都度、現在でも6,000円の手数料が発生している。
しかも、最初に付与される在留期間は通常2か月と非常に短く、その後も3か月、さらに3か月、そしてようやく6か月と、細切れで更新が繰り返される。結果として、難民申請からわずか8か月の間に4回もの更新手続きが必要になるケースも少なくないという。
入国直後でまだ就労が難しい人も多く、生活基盤が整っていない中で、こうした手数料を何度も捻出しなければならない現実がある。実際に、日々の食事にも困り、住む場所すら安定していない人々からの相談が寄せられており、同協会でも月平均20人ほどに対して手数料の支援を行っていると説明した。
そのうえで、生田さんは、もし今回の引き上げが実施されれば、さらに多くの人が生活困窮に追い込まれ、手数料を支払えず在留資格の更新ができなくなるのではないかという強い不安を示した。
とりわけ重要なのは、難民申請中の人々は、そもそも母国へ帰ることができない事情を抱えて日本に来ているという点である。危険から逃れてきた人々にとって、申請中であっても法的地位の安定は不可欠であり、それが経済力の有無によって左右されてはならないと強く訴えた。
また、法案には減額や免除に関する規定も盛り込まれているものの、仮に引き上げを行うのであれば、経済的に困窮している難民申請者が確実にその対象となるよう、制度設計を明確にすべきであると指摘した。
最後に、なぜこの金額まで引き上げる必要があるのか、その水準は妥当なのか、どのような根拠で算定されたのかなど、多くの疑問が残されたままであるとして、制度の当事者の立場に立った丁寧な審議を求め、報告を締めくくった。
最後に、閉会の挨拶として、移住連共同代表理事の鳥井一平氏が登壇した。
鳥井氏は、当事者や支援団体、専門家からの発言を振り返りながら、今回の問題の本質は、難民認定制度の不備や在留資格制度の構造的な問題にあると指摘した。とりわけ、難民認定が適切に行われない結果として、当事者が何度も在留資格を更新せざるを得ない状況に置かれていることに触れ、その回数に応じて高額な手数料を課すことは、「回数で金を稼ごうとするような、とんでもない話」だと強く批判した。
また、この問題について、実際には多くの当事者が十分に知らされていない現状にも言及した。周囲でも、内容を知った人々から驚きの声が上がっているとし、仕事などの事情で会場に来られない人々の中にも、声を上げたいという思いを持つ人が多くいることを紹介した。
そのうえで、特に日本国籍を持つ人々が声を上げる必要性を強調し、「反対」「NO」という意思表示の輪をさらに広げていきたいと訴えた。
さらに、現在の社会状況についても触れ、ヘイトや排外主義、戦争反対を含め、自分たちがどのような社会を求めているのかを改めて言葉にしていく必要があると述べた。排外的な立場には未来がない一方で、自分たちには「明日」があるとし、その未来を守るためにこそ、今、声を上げ続けることが重要であるとの考えを示した。
また、「すべてが政治的なことになってしまっている時代」だからこそ、より良い明日を求める声を共に上げていきたいと呼びかけた。今後予定される国会での本格的な審議に向けては、議員を後押しするためにも、市民が可視化された形で意思を示す必要があるとの認識を示し、スタンディングなどの行動も含めて、社会が本当に求める姿を示していきたいと語った。
最後に、今回の入管法改定案に対する反対の声を今後さらに広げていく決意を改めて示し、「明日のために、皆さんと一緒に声を上げていきたい」と呼びかけて、集会を締めくくった。
私自身は、移民政策そのものの厳格化に反対しているわけではない。むしろ、制度として一定のルールを明確にし、社会の安定と秩序を保つための管理は必要だと考えている。しかし、現在の政府が進めている保守的な右派政策の手法には強い違和感を覚える。問題は「厳格化」そのものではなく、それがどのような目的と思想のもとで行われているかにある。
例えば、外国人住民による共生政策のための財源確保という観点から、外国人を対象とした特定の負担制度そのものを直ちに否定する立場ではない。日本社会において、一部の日本人が自らの税金が外国人支援に使われることに複雑な感情を抱く現実を踏まえれば、財源の見え方を工夫することで社会的分断を抑え、差別や偏見の拡大を防ぐ余地はあるとも感じている。
しかし、今回議論されている在留資格更新手数料や永住許可申請費用の大幅な引き上げは、その方向性とは本質的に異なるように見える。これは共生社会のための予算確保というよりも、結果として移民の流入を抑制し、すでに日本で暮らしている外国人の生活を圧迫し、永住という安定した在留資格への到達を困難にすることを主目的としているようにも映る。そうした意味で、制度上は合法的な形を取りながらも、実質的には排除の論理が働いているのではないかという疑念を抱かざるを得ない。
結果として、外国人の権利や人権の課題においては進歩的・左派勢力からの支援が目立つ現実がある。それ自体は心強く感じる一方で、「外国人を日本人と全く同じ前提で扱えばすべて解決する」という理念もまた、現実社会においては必ずしも十分に機能しない側面があると私は考えている。理想としては、中道的で実務的な解決策こそが最も有効であるように思える。
しかし、現実の政治はしばしば両極に引っ張られ、中間の選択肢が力を持ちにくい。この点に、私は一種の政治的パラドックスを感じている。
ここで重要なのは、問題の捉え方そのものを問い直すことではないだろうか。
私はこれまでの経験から、外国人をめぐる諸問題を「誰が悪いのか」という枠組みで議論すること自体に限界があると感じている。現実に起きている多くの摩擦や課題は、個人の資質や文化の違いに還元できるものではなく、制度や社会構造の設計によって生み出されている側面が大きい。したがって本来問われるべきは、「誰を責めるか」ではなく、「どのような制度設計がその結果を生んでいるのか」という点である。
この観点に立てば、今回の手数料引き上げも単なる負担増として捉えるのではなく、一つの制度設計として評価する必要がある。制度とは単にルールを定めるものではなく、人々の行動を方向付け、その積み重ねによって社会のあり方そのものを形成する装置である。つまり、どのような制度を設計するかということは、どのような社会をつくろうとしているのかという意思の表明でもある。
そう考えたとき、今回の制度変更がもたらすのは単なる財政的な効果ではない。むしろ、在留継続を躊躇させる、あるいはより不安定な立場に人々を追い込むといった行動変化を通じて、結果的に社会の構成そのものを変化させていく可能性がある。問題はその変化が意図されたものなのか、それとも十分な検討がなされないまま生じているのかという点にある。
さらに言えば、制度設計においては「誰が責任を担い、誰がそのコストを負担するのか」という点が不可避的に問われる。多文化共生の実現は社会全体に関わる課題であるにもかかわらず、その負担が特定の主体に過度に集中する場合、それは制度としての均衡を欠くことになる。今回の議論に対して違和感を覚えるのも、まさにこの点にある。
私は、右派的な排除の論理にも、左派的な理念先行のアプローチにも、それぞれ限界があると感じている。前者は社会の安定を重視するあまり構造的要因を見落としがちであり、後者は理想を掲げる一方で制度設計の現実性や持続可能性に対する視点が不足しがちである。いずれも一面的であり、結果として問題の解決には至りにくい。
その意味で、私が重視しているのは、理念と現実を対立させることではなく、それらを制度設計という形で接続する視点である。多文化共生とは、単に理想を掲げることでも、管理を強化することでもなく、どのような条件のもとで人々が社会の構成員として参加しうるのかを具体的に設計していくプロセスであると考えている。
したがって、今回のような制度変更をめぐる議論において本来問われるべきは、「厳しいか緩いか」ではなく、その制度がどのような社会像を前提とし、どのような結果をもたらすのか、そしてその設計が社会全体として正当化しうるものなのかという点である。
多文化共生とは、単なる理念でもスローガンでもなく、具体的な制度設計の積み重ねによって形作られるものである。だからこそ、個々の政策の是非を感情や印象で判断するのではなく、その構造と帰結を冷静に見極めていく必要があるのではないだろうか。




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