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令和8年度外国人相談窓口相談員研修会(第1回)「出入国在留管理等を巡る最近の動向」講演内容を公開

株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク
株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク

令和8年度外国人相談窓口相談員研修会(第1回)は、外国人相談窓口の相談員等を対象として開催され、全3回の研修を通じて、出入国在留管理制度や外国人支援に関する基礎知識から最新制度まで、幅広いテーマについて解説が行われました。


本記事では、その中でも、現在の出入国在留管理制度の最新動向や今後の制度改正など、外国人相談や外国人支援に携わる方々をはじめ、多くの外国人住民にも特に関係が深い内容である「出入国在留管理等を巡る最近の動向」の講演内容を、講演での説明や質疑応答も含めて整理し、できる限り分かりやすい形で公開します。


なお、研修で使用された公式資料(研修資料)については、本記事とあわせて公開するとともに、第1回・第3回を含む全3回分の公式研修資料についても掲載します。


第1回および第3回の内容については、それぞれ出入国在留管理制度の基礎や公的年金制度をテーマとしており、制度の詳細については各関係機関が公開している情報も参照できます。一方、本記事で取り上げる第2回の講演では、制度改正の背景や運用の考え方、質疑応答で示された補足説明など、資料だけでは分かりにくい内容についても数多く説明されており、その内容を記録として残すことには大きな意義があると考え、本記事としてまとめました。


令和8年度外国人相談窓口相談員研修会(全3回)

第1回(令和8年6月22日)

「入管法の基礎」

講師:東京出入国在留管理局 在留支援部門 入国審査官 北村 晃彦 氏

※公式研修資料を掲載


第2回(令和8年6月24日)

「出入国在留管理等を巡る最近の動向」

講師:東京出入国在留管理局 在留支援部門 審査指導官 山﨑 浩一 氏

※本記事で講演内容を詳しく紹介するとともに、公式研修資料を掲載


第3回(令和8年6月26日)

「公的年金制度の概要」

講師:日本年金機構 新宿年金事務所 国民年金課長 鶴田 剛大 氏

※公式研修資料を掲載


1⃣ 最近の統計:在留外国人数等の推移


講師はまず、出入国在留管理庁が令和8年3月27日に公表した在留外国人数をはじめとする最新の統計資料をもとに、日本における在留外国人数等の推移について説明した。同日に出入国在留管理庁では全部で8件の統計資料がまとめて公表されたことに触れ、「個人的には、ニュースになるような統計を同じ日に8件も公表しなくてもよいのではないかと思う」と冗談交じりに話した一方で、毎年このような形で統計が公表されていると説明した。


最初に示されたのは、令和7年12月末現在の在留外国人数の推移をまとめたグラフである。グラフでは、横軸が昭和61年末から令和7年末までの推移を示し、オレンジ色の棒グラフが在留外国人数、赤色の折れ線グラフが外国人労働者数、青色の折れ線グラフが総人口に占める在留外国人数の割合を表している。昭和61年当時、日本に在留する外国人は100万人に満たなかったが、令和7年末には412万人を超え、この約40年間で大きく増加したことが紹介された。


講師は、この増加の背景には制度改正が積み重ねられてきたことがあるとして、これまでの主な制度改正を振り返った。まず平成2年(1990年)の入管法改正について、「入管法の中でも大改正の一つだった」と説明した。当時は在留資格が「4-1-1」のような番号で管理されており、外国人本人であっても自分がどの在留資格で在留しているのか分かりにくい状況だったという。この改正により、「外交」「公用」「短期滞在」など、現在のように在留資格名が文字で表示される制度へ変更された。また、この改正では「定住者」の在留資格が新設され、日系二世・三世やその配偶者がこの在留資格で日本に入国できるようになったことも大きな変更点として紹介した。


続いて平成22年(2010年)の制度改正では、「技能実習」の在留資格が創設されるとともに、それまで別々であった「留学」と「就学」の在留資格が「留学」に一本化されたことを説明した。さらに平成24年(2012年)の改正では、「新しい在留管理制度」が導入された。講師は、「当時は『新しい在留管理制度』と言っていたが、今となっては十数年前の制度なので、『新しい』という表現も少し古くなった」と話し、会場の笑いを誘った。この制度改正では、外国人登録法が廃止され、現在の在留カード制度が導入されたほか、特別永住者証明書の交付制度や在留資格取消制度なども新たに設けられたことを説明した。さらに平成31年(2019年)4月には、現在の「特定技能制度」が創設されたことにも触れ、これら一連の制度改正が現在の在留管理制度の基盤となっていると説明した。


続いて講師は、外国人労働者数について説明した。外国人労働者数の統計は出入国在留管理庁が直接集計しているものではなく、厚生労働省が公表する「外国人雇用状況」の統計を基にしていることを紹介した。その理由として、出入国在留管理庁では在留資格によって就労可能かどうかは把握しているものの、日本人の配偶者等や永住者など就労に制限のない在留資格については、実際に就労しているかどうかまでは把握していないためであると説明した。


続いて、令和7年末現在の在留外国人数約412万人について、在留資格別・国籍・地域別の構成が紹介された。在留資格別では、最も多いのが永住者で全体の約23%を占めている。次いで、「技術・人文知識・国際業務」が約46万8千人(約11.5%)、留学生が約45万3千人(約11%)となっている。講師は、「技術・人文知識・国際業務」については、出入国在留管理庁内部では「技人国(ぎじんこく)」と略して呼ぶことが多いと紹介した。国籍・地域別では、中国が約22%で最も多く、続いてベトナムが約16%、韓国が約9%となっている。


外国人労働者数は令和7年末現在で約258万人となっており、在留外国人数全体の約62.6%が就労していることになる。その内訳についても説明が行われた。最初に紹介されたのは、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など、身分に基づく在留資格を持つ人たちである。これらの在留資格には職種による就労制限がなく、法律に違反しない限り自由に就労することができる。


続いて、専門的・技術的分野の在留資格を持つ人材について説明した。その中で講師は、特定技能制度には受入れ人数の上限が設けられており、受入れ枠に達する見込みとなった場合には、在留資格認定証明書(COE)の交付を一時的に停止することがあると説明した。その例として、今年、外食業分野で受入れ枠が上限に近づいたことから、在留資格認定証明書の交付を一時停止した事例を紹介した。


次に、「特定活動」の在留資格について説明した。講師は、「特定活動」は既存の在留資格では整理できない活動を受け入れるための、いわば「バスケット」のような性格を持つ在留資格であると説明した。法務大臣が個別に活動内容を指定し、その活動を認める制度であり、現在は約50類型が設けられているという。具体例として、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士やワーキング・ホリデー制度を紹介した。EPAによる受入れ対象国は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国のみであることを説明した。また、ワーキング・ホリデー制度については、昭和55年にオーストラリアとの間で始まった制度であり、現在では31か国・地域との間で実施されていると紹介した。


ここで講師は自身の経験にも触れ、外務省へ出向していた6年間のうち、3年間は在香港日本国総領事館で査証(ビザ)班長を務め、その在任中に香港とのワーキング・ホリデー制度創設に携わったことを紹介した。


最後に、「資格外活動」による就労について説明した。留学生は本来、在留資格だけでは就労することはできないが、「資格外活動許可」を受けることで、一定の条件の下でアルバイトなどの就労が認められる。この資格外活動によって就労している外国人は、外国人労働者全体の約17.5%を占めていると説明した。


最後に講師は、3月27日に公表された統計には外国人入国者数も含まれており、令和7年の1年間に日本へ入国した外国人は約4,243万人となり、過去最高を更新したことを紹介した。


2⃣ マイナンバーカードと在留カードの一体化


続いて講師は、「マイナンバーカードと在留カードの一体化」について説明した。


この制度は、令和6年(2024年)の入管法改正によって創設されたものであり、令和8年(2026年)6月14日から施行された。


講師は近年の入管法改正について触れ、「令和5年、令和6年、そして令和8年と、ほぼ毎年のように制度改正が行われている」と説明した。その中でも、マイナンバーカードと在留カードの一体化は令和6年改正法による制度であり、施行されたばかりの新しい制度であると紹介した。


制度改正の背景について、講師はまず現行制度を説明した。日本に3か月を超えて在留する中長期在留者には在留カードが交付され、原則として常時携帯義務が課されている。また、平成24年(2012年)の新しい在留管理制度の開始に伴い、外国人登録法が廃止され、中長期在留者も住民基本台帳制度の対象となったことから、希望する者はマイナンバーカードの交付を受けることができるようになった。しかし、これまでは在留カードとマイナンバーカードをそれぞれ別に申請し、2枚のカードを所持・利用する必要があったため、今回の制度改正では両者を一体化できる仕組みが導入されたと説明した。


講師は、この制度はあくまでも任意であり、一体化を希望しない場合は、これまでどおり在留カードのみを所持することができると強調した。


また、今回の制度は中長期在留者だけでなく、特別永住者も対象となっている。講師は、特別永住者は入管法上の29種類の在留資格には含まれず、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に基づく地位であるため、在留カードではなく特別永住者証明書が交付されていると説明した。そして、この特別永住者証明書についても、今回の制度改正によりマイナンバーカードとの一体化が可能となったことを紹介した。


講師は、制度改正の主なポイントとして、一体化は義務ではなく希望者のみが申請する制度であること、在留期間更新許可や在留資格変更許可などを地方出入国在留管理局で行う際には、一体化カードの申請も同時に行うことができるようになったことを説明した。一方で、特別永住者については従来どおり市区町村の窓口で手続きを行うこととなっており、その理由として、特別永住者は通常、住所変更などを除いて入管窓口で手続きを行う機会がほとんどないためであると説明した。


続いて、新しいカードの券面表示について説明した。今回の制度改正では、在留カードに記載されていた「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」の3項目が券面から削除され、ICチップ内に記録される方式へ変更された。講師は、この変更は一体化カードだけではなく、一体化を希望しない人に交付される新しい在留カードにも適用されると説明し、今後交付される在留カードは同じ仕様になることを紹介した。


その一方で、制度開始後に確認された課題についても説明があった。出入国在留管理庁では、ICチップ内の情報は公式の読取アプリによって確認できるとしていたが、制度開始後に確認したところ、券面から削除されたこれら3項目についてはアプリ上で表示されない不具合が判明したという。講師はこの点について「申し訳ありません」と述べ、現在アプリの改修作業を進めており、令和8年9月頃を目途に新しいバージョンを公開する予定であると説明した。改修後は、ICチップ内に記録された「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」についても確認できるようになる見込みであるという。


さらに、永住者の在留カードの有効期間についても変更があったことを紹介した。従来は交付から7年間であったが、制度改正後はマイナンバーカードの有効期間に合わせる形となり、18歳以上は10回目の誕生日まで、18歳未満は5回目の誕生日までとなる。講師は、未成年者の更新期間が短く設定されているのは、成長に伴って顔写真が変化するためであると説明した。また、新しい在留カードでは、1歳以上の者について顔写真が表示されるようになったことを紹介した。


続いて、在留カード情報とマイナンバーカードとの連携についても触れたが、この時点では具体的な情報連携の内容については説明せず、参加者から事前質問が寄せられているため、「質疑応答の中で改めて説明する」と述べるにとどめた。


最後に、一体化カードの交付に関する手数料について説明した。在留期間更新許可と同時に一体化カードを申請する場合は、在留期間更新許可手数料に加え、一体化カードおよび地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に係る手数料を合わせた金額となる。一方、一体化を希望しない場合は、新しい様式の在留カードが交付され、通常の在留期間更新許可手数料のみとなると説明した。


質疑応答 ― マイナンバーカードと在留カードの一体化


講師はここで説明を一区切りとし、「簡単な内容であればこの場で回答し、時間を要するものについては後ほどまとめてお答えします」と述べ、参加者からの質問を受け付けた。


最初に、一体化カードの再交付手数料について質問があった。参加者からは、「通常のマイナンバーカードは初回交付が無料で、紛失時には再交付手数料が必要となるが、一体化カードも同じ考え方なのか。また、在留期間更新を伴わず一体化カードだけを再交付する場合は2,700円という理解でよいのか」との質問が寄せられた。


これに対し講師は、「先ほど説明した8,700円は在留期間更新許可と同時に一体化カードを申請した場合の手数料である」と説明した上で、紛失などにより在留期間更新を伴わず一体化カードのみを再交付する場合は、更新許可手数料6,000円を除いた2,700円になるとの理解で差し支えないと回答した。


続いて、新しい在留カードの券面表示について質問があった。参加者は、「新しい在留カードや一体化カードでは、これまで券面に記載されていた在留期間や許可に関する情報が表示されなくなるため、就職活動や勤務先への在留資格の証明に支障が生じるのではないか。これまでは在留カードを提示するだけで済んでいたが、今後は在留情報が記載された住民票の写しなどの追加書類が必要になるのではないか」と質問した。


これに対し講師は、「会社によっては、現在何年の在留期間が許可されているのかまで確認したいと考える場合もあるかもしれない」としながらも、「基本的にはそこまでの情報が必要となる場面は多くないのではないか」との考えを示した。その理由として、新しいカードでも在留期限(満了日)は引き続き券面に表示されるため、その外国人がいつまで適法に在留できるかは確認できること、また最も重要なのは「どの在留資格で在留しているか」と「在留期限がいつまでか」であり、その情報は引き続き確認できるためであると説明した。


一方で、今回券面から削除された「3年の在留期間が許可されているのか、それとも5年なのか」といった許可内容の詳細については、通常の雇用管理において必ずしも必要とは言えないとの見解を示した。ただし、企業によっては長期間の雇用を前提として現在付与されている在留期間まで確認したいと考える可能性もあり、そのような場合には追加資料の提出を求められることもあり得ると述べた。


最後に講師は、券面から削除された許可内容については、必要に応じてICチップ内の情報を読み取ることで確認できるようになる予定であり、新制度においても実務上大きな支障は生じないとの認識を示した。


3⃣ 育成就労制度等(令和9年4月1日開始予定)


続いて講師は、令和6年入管法改正によって創設された育成就労制度について説明した。この制度は令和9年(2027年)4月1日に施行される予定となっており、現在の技能実習制度に代わる新たな制度として導入される。講師は、「皆さんも非常に関心が高いテーマではないかと思います」と述べ、制度創設の背景から順を追って説明した。


令和6年6月21日に公布された改正法では、これまで国際貢献を目的として運用されてきた技能実習制度を発展的に解消し、新たに人手不足分野における人材育成・人材確保を目的とする育成就労制度が創設された。講師は、「技能実習制度はなくなり、育成就労制度へ移行する」と説明し、育成就労制度では、対象となる産業分野において3年間就労し、その期間中に特定技能1号相当の技能水準まで育成することを制度の基本的な目的としていると紹介した。


続いて制度全体の構成について説明した。講師は、「少し分かりにくいので補足します」と前置きした上で、育成就労制度は4つの段階で運用される仕組みになっていると説明した。まず土台となるのが「育成就労制度基本方針」であり、制度全体の基本的な考え方を示すもので、令和7年3月11日に閣議決定された。その上に位置付けられるのが「分野別運用方針」で、育成就労制度の17分野それぞれについて、関係省庁だけでなく、有識者会議の意見も踏まえて策定される。さらに、「上乗せ基準告示」では各分野における受入れ基準や必要書類などが定められ、最後に「分野別運用要領」が位置付けられる。講師は、この運用要領は基準ではなく、実際に申請を行う人たちのためのガイドラインのようなものであり、具体的な運用方法が示されるものになると説明した。


講演時点では、17分野のうち15分野については既に上乗せ基準告示が公布されており、残る「物流倉庫」と「資源循環」の2分野については準備が進められている段階であること、また、分野別運用要領については現在作成中であることも紹介された。


続いて、「育成就労計画」について説明した。育成就労制度では、外国人一人ひとりについて3年間の育成就労計画を作成し、その計画について認定を受ける必要がある。認定を行うのは、新たに設置される「外国人育成就労機構」であり、講師は、現在技能実習制度を監督している外国人技能実習機構(OTIT)が、この新しい外国人育成就労機構へ改組される予定であると説明した。


また、受入れを支援する機関についても制度が見直される。現在の技能実習制度における監理団体と、特定技能制度の登録支援機関の仕組みを整理し、新制度では「監理支援機関」として一本化される予定であり、その運営については法務大臣の許可制が導入される。講師は、「現在よりも許可基準は厳格化される」と説明した。


外国人の受入れについては、原則としてMOC(Memorandum of Cooperation:協力覚書)を締結した国から受け入れる制度となる。講師は、技能実習制度では送出国との関係に様々な課題が指摘されてきたことから、新制度では政府間の協力体制をより重視する仕組みになると説明した。講演時点では、正式にMOCが締結されているのはタイのみであり、令和8年6月4日に第1号として公表された。また、正式締結前の暫定送出機関リストは既に公表されており、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、ベトナムなどが掲載されていることを紹介した。さらに講師は、特定技能制度では17か国とMOCを締結しているものの、現在交渉中の国については公表されていないと説明した。


続いて、転籍制度について説明した。技能実習制度では、本人の希望による転籍は原則として認められていなかったが、この点は以前から制度上の課題として指摘されてきた。育成就労制度では、一定の条件を満たした場合には本人の意向による転籍が認められる仕組みに改められ、この点も制度改善の一つとして紹介された。


その後、講師は技能実習、育成就労、特定技能の関係を図表を用いて説明した。技能水準で見ると、育成就労が最も基礎的な段階に位置付けられ、その上に特定技能1号、さらに特定技能2号へと続く構造となっている。育成就労制度では、3年間で特定技能1号相当まで育成することを目標としており、その後、特定技能1号へ移行した場合には最長5年間在留することができる。さらに特定技能2号へ移行すると、在留期間の更新回数に上限がなくなり、家族帯同も認められるようになると説明した。


日本語能力要件についても説明があった。育成就労制度では、来日前に日本語能力A1相当以上を有することが求められ、その方法として、日本語能力試験などでA1相当以上を取得するか、または認定日本語教育機関において100時間以上の日本語教育課程を修了することが必要となる。


また、3年間の育成就労終了時点で特定技能1号試験に合格できなかった場合についても説明した。この場合は、再受験を目的として最長1年間在留を継続できる制度が設けられており、講師は、「有識者からも、また入管庁内部からも、このような仕組みが必要であるとの意見が出されていた」と説明した。


最後に、特定技能制度には存在するものの育成就労制度には含まれない分野について紹介した。対象外となるのは、工業製品製造業のうちリネンサプライ分野自動車運送業である。その理由について講師は、これらは国内で人材を育成し、3年間で特定技能1号へ育成するという育成就労制度本来の趣旨になじまない分野であるためと説明し、このテーマを締めくくった。


4⃣ 外国人の受入れ・共生のための総合的対応策


続いて講師は、「外国人の受入れ・共生のための総合的対応策」について説明した。冒頭、参加者に対し、「ロードマップ」と「総合的対応策」は混同されることが多いが、それぞれ目的や役割が異なるため、まずその違いを理解してほしいと述べた。


講師によると、「外国人の受入れ・共生のための総合的対応策」は、平成30年(2018年)12月に、当時の名称である「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」として初めて策定された。その後、社会情勢や制度改正などを踏まえて毎年のように見直しが行われ、これまでに7回の改定が実施されている。さらに令和7年(2025年)1月23日には、外国人政策を担当する関係閣僚会議の体制見直しに伴い、新たな総合的対応策が取りまとめられた。講師は、今回は従来の「改定」という位置付けではなく、政策全体を見直した「リニューアル」に近い形で策定されたものであると説明した。また、名称も現在の「外国人の受入れ・共生のための総合的対応策」へ変更され、外国人の受入れと秩序ある共生社会の実現に向けて、政府全体で取り組む施策が整理されていることを紹介した。


一方、「ロードマップ」は令和4年(2022年)6月に策定されたものである。講師は、総合的対応策が毎年度見直される政策集であるのに対し、ロードマップは短期的な施策ではなく、中長期的な視点から外国人との共生社会の実現に向けた方向性を示す計画であり、それぞれ役割が異なると説明した。また、講演時点では、ロードマップには105施策、総合的対応策には369施策が盛り込まれていることも紹介された。


続いて、ロードマップに盛り込まれている具体的な施策として、「外国人に対する情報発信・相談体制の強化」が挙げられた。この施策には、一元的相談窓口の設置や各種相談会の実施などが含まれており、講師は、日頃から外国人相談窓口で活動している相談員の協力によって、こうした施策が実際に支えられていると述べ、参加者に対して感謝の言葉を伝えた。


さらに、令和8年版の総合的対応策についても説明が行われた。令和8年度中に重点的に進める施策として「不法滞在者ゼロプラン」の強力な推進が掲げられていることを紹介したほか、令和9年度以降に実施予定の施策として、出入国在留管理庁と関係機関との間でマイナンバー等を活用した情報連携を進め、その情報を在留審査にも活用していく方針が盛り込まれていることを説明した。この点については事前質問でも関心が寄せられているため、質疑応答の時間に改めて詳しく説明すると述べた。


最後に講師は、現在、政府が進めている外国人の受入れ及び共生に関する各種施策は、この総合的対応策に基づいて実施されていることを説明し、続いて令和8年入管法改正(案)の説明へと移った。


5⃣ 令和8年改正入管法等(令和8年6月5日公布)


続いて講師は、令和8年6月5日に公布された「令和8年改正入管法等」について説明した。今回の改正では、大きく二つの内容が盛り込まれているとし、一つは在留資格関係の各種手数料の見直し、もう一つは査証免除対象者を対象とした事前渡航認証制度「JESTA(日本版ESTA)」の導入であると説明した。また、それぞれ施行時期が異なっており、手数料に関する改正は令和9年3月31日までの間に政令で定める日に施行される予定である一方、JESTAについてはシステム整備などに一定の準備期間が必要となることから、公布の日から起算して3年以内、すなわち令和11年3月31日までに施行される予定であると説明した。


JESTA(日本版ESTA)の導入


講師は、JESTA導入の背景について、令和7年に日本へ新たに入国した短期滞在者は約3,846万人に達し、その約8割が査証(ビザ)免除対象国・地域からの渡航者であったことを紹介した。その上で、現在でも航空機が日本へ到着する前に一定の旅客情報は航空会社から出入国在留管理庁へ提供されているものの、それだけでは渡航者の過去の入国歴や退去強制歴など、入国審査に必要となる情報を十分に把握できない場合があると説明した。


具体例として、過去に日本で重大な犯罪を犯して退去強制となり、法律上は再入国が認められない者であっても、査証免除対象国の旅券を所持している場合には、航空会社ではその事実を把握できないため、通常どおり航空機へ搭乗できてしまうケースがあることを挙げた。そして、日本到着後の上陸審査で初めて上陸拒否となり、本人が帰国を拒否した場合には退去強制手続へ移行することになるが、実際には送還まで長期間を要するケースもあると説明した。


こうした問題を解決するため、新たに導入されるJESTAでは、査証免除対象者に対して日本への渡航前にオンラインで必要事項を登録してもらい、その情報を基に事前審査を実施する。審査の結果、渡航が認められない場合には、日本行き航空機への搭乗自体が認められない仕組みとなる予定であり、制度を確認せずに対象者を搭乗させた航空会社に対しては罰則が設けられる予定であることも紹介した。


在留関係手数料の見直し


続いて講師は、在留資格に関する各種手数料の見直しについて説明した。資料に掲載されている金額は法律で定められた上限額であり、実際に徴収される手数料については今後政令によって定められるため、講演時点では具体的な金額はまだ決定していないと説明した。また、この点については参加者からも事前質問が寄せられていることから、質疑応答の中で改めて詳しく説明すると述べた。


最後に講師は、資料23ページについては22ページと同様の内容を一覧表として整理したものであるため、詳細については資料を参照してほしいと説明し、続いて「その他」の説明へ移った。


6⃣ その他


講師は最後のテーマとして「その他」を取り上げ、①「経営・管理」在留資格の許可基準見直し、②永住許可制度の適正化、③不法滞在者ゼロプラン――の3項目について説明した。


(1)「経営・管理」在留資格の許可基準見直し(令和7年10月施行)


まず、「経営・管理」の在留資格について、令和7年(2025年)10月に許可基準の見直しが行われ、制度運用が厳格化されたことを説明した。講師は、具体的な要件については配布資料に記載されているため詳細な説明は省略するとした上で、今回の見直しでは、事業所の実在性や事業の継続性・安定性などについて、これまで以上に適切に確認する運用へ改められたことを紹介した。


制度見直しの背景については、「経営・管理」の在留資格は本来、日本国内で事業活動を行い、日本経済の活性化に貢献するとともに、日本人を含めた雇用の創出にもつながることを目的として設けられた制度であると説明した。一方で、近年は事業実態のない、いわゆるペーパーカンパニーのような事例も確認されるようになったという。講師は、「もちろん、多くの方は制度の趣旨どおり適正に経営活動を行っているので、その点は誤解しないでいただきたい」と前置きした上で、実態調査などを通じて制度趣旨に反する事例が確認されたことから、本来の制度趣旨に沿った運用を徹底するため、今回の許可基準見直しが行われたと説明した。


(2)永住許可制度の適正化(令和9年4月施行予定)


続いて、令和6年改正入管法による永住許可制度の適正化について説明した。講師は、今回の改正では、永住許可を与える際の審査基準を見直すことに加え、永住許可を受けた後であっても、公租公課(税金や社会保険料など)の納付義務を故意に履行していない場合など、一定の要件に該当するときには永住許可を取り消すことができる制度が新たに設けられたと説明した。


これまでも永住許可の取消制度は存在していたが、その対象は、申請時に虚偽書類を提出していた場合など、「当時その事実が判明していれば許可されなかった」と判断されるケースが中心であった。一方、永住許可取得後に税金や社会保険料などの納付義務を履行しなくなった場合については、現行制度では永住許可を取り消すことはできなかったという。


講師は、大多数の永住者は法律を守り、適切に納税や社会保険料の納付を行いながら生活していることを強調した上で、ごく一部では「永住許可を取得した以上、もう在留資格を失うことはないだろう」と考え、公租公課を納付しなくなるケースも現実に存在すると説明した。今回の制度改正は、そのような一部の悪質な事例に対応することを目的としたものであり、適正に生活している永住者を対象とするものではないと述べた。


さらに講師は、制度が施行されたからといって、対象となるすべての永住者が直ちに永住許可を取り消されるわけではないことも強調した。資料にも示されているとおり、個別事情によっては取消しを行わない場合もあり、また、永住許可を取り消す場合であっても、日本での在留を引き続き認めることが適当と判断される事情がある場合には、他の在留資格への変更を認める運用も予定されていると説明した。


(3)不法滞在者ゼロプラン


最後に、「不法滞在者ゼロプラン」について説明した。講師は、「ゼロプラン」という名称について、自身としてもさまざまな思いがあると率直に述べた上で、不法滞在者が存在する状態は、日本の出入国管理制度の基本的なルールが守られていない状態であり、その状況を改善していくことが必要であると説明した。


ここでいう不法滞在者とは、不法入国した者だけではなく、在留期間を超えて日本に滞在し続けている者も含まれる。講師は、「その人が善良な人かどうかという人格の問題とは別であり、不法滞在という法的な状態そのものが問題なのである」と説明し、不法滞在者ゼロプランは、個人を一律に非難することを目的としたものではないことを強調した。


また、不法滞在者を減らすことは重要である一方、「すべての人を摘発し、強制送還することだけを目的としているわけではない」とも説明した。例えば、調査の結果、単に在留期間更新手続きを失念していたことなどが判明するケースでは、個別の事情を十分に確認した上で、在留特別許可が認められ、元の在留資格へ戻る事例も実際に存在すると紹介した。


講師は最後に、不法滞在者ゼロプランとは、不法滞在という状態そのものをなくすことを目指す取組であり、その実現に当たっては、一人ひとりの事情を丁寧に確認しながら、法令に基づいて適切に対応していくことが重要であると説明し、一連の講演を締めくくった。


7⃣ 事前質問への回答


講演の最後には、参加者から事前に寄せられた質問について、講師が順番に回答を行った。質問内容は、在留期間更新の運用、在留資格更新が不許可となった場合の対応、マイナンバー情報との連携、一体化カードの取扱い、永住許可制度の見直し、育成就労制度など、現在の外国人受入れ制度に関係する幅広い内容に及んだ。


(1)在留期間の長期化について


最初の質問は、最近の在留期間更新許可において、以前よりも長い在留期間が許可される傾向があるのか、また今後そのような運用方針が予定されているのかという内容であった。


これに対し講師は、現時点では、在留期間が以前より長く許可されるような傾向は見られず、今後についても、在留期間を長く許可する方向へ運用を変更する予定はないと説明した。在留期間の許可については、従来どおり、申請内容や在留状況などを踏まえて個別に判断されるものであると述べた。


(2)在留資格更新が不許可となった場合の本人及び家族滞在者への対応


続いて、就労系在留資格の更新が不許可となった場合、本人や家族滞在者がどのような取扱いとなるのかについて質問があった。


講師は、まず本人について、現在の在留期間がまだ残っている場合には、更新が不許可となったことを理由として入管が特別な措置を行うものではなく、在留期限までに日本を出国すれば問題はないと説明した。家族滞在者についても、多くの場合は本人と同じ在留期限が設定されているため、本人とともに在留期限内に出国する場合には、特段の対応が必要となるわけではないという。


また、在留期間更新許可申請が不許可となること自体は犯罪ではなく、不許可となった後であっても、在留期限内に適法に出国した場合には、必要な手続きを整えた上で、将来的に別の在留資格により再び日本へ入国することは可能であると説明した。


一方で、更新申請中に「特例期間」に入っている場合については、取扱いが異なることを説明した。講師によると、在留期間が30日を超える外国人が在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を行い、入管がその申請を受理した場合、審査結果が出るまでの間、最長60日間は適法に在留することができる制度となっている。


この制度は、以前は更新申請中であっても在留期限が到来すると、法律上は不法残留となる可能性があったことから、その問題を解消するために法改正によって設けられたものであるという。


しかし、特例期間中に更新申請が不許可となった場合には、その時点で不法残留の状態となる。そのため入管では、申請者が帰国を希望する場合には、更新申請をそのまま不許可とするのではなく、「短期滞在」への在留資格変更許可申請へ切り替えるよう案内していると説明した。


この変更が許可された場合には、通常30日程度の在留期間が認められ、その期間内に出国することが可能となる。また、家族滞在者についても、同様の対応が行われる場合があるという。


ただし、偽造書類の提出など悪質な事情が認められる場合には、このような変更許可が認められず、不法残留となった時点で退去強制手続へ移行する可能性もあると説明した。講師は、更新不許可後の対応については一律に決まるものではなく、個別の事情を踏まえて判断されることを強調した。


(3)マイナンバー情報との情報連携について


続いて、在留カードとマイナンバーカードの一体化に伴い、出入国在留管理庁が今後どのようなマイナンバー情報へアクセスすることになるのかという事前質問について説明が行われた。


講師は、まず、情報連携の具体的な内容については現在も制度設計の検討段階にあり、正式な取扱いはまだ決定していないと前置きした上で、現時点で想定されている方向性について説明した。


情報連携については、デジタル庁が運用する「公共サービスメッシュ」を利用する予定であり、この仕組みを通じて、出入国在留管理庁と関係機関との間で、在留審査に必要となる情報を連携する方向で準備が進められているという。


現時点で提供を受ける方向で検討されている情報として、住民税課税情報、年金給付関係情報、医療保険被保険者資格情報、戸籍関係情報などが挙げられた。これらの情報については、令和9年(2027年)3月頃から情報連携を開始する方向で準備が進められていると説明した。


また、その後の段階として、健康保険料の納付情報についても追加で情報連携を行う予定であり、こちらについては令和9年(2027年)6月頃からの運用開始を目指して検討が進められているという。


講師は、このような情報連携が実現することにより、中長期在留外国人が在留資格に関する各種申請を行う際、これまで市区町村などから取得して提出していた証明書類の一部が不要となる可能性があり、申請者にとって大きな利便性向上につながるとの見通しを示した。


(4)一体化カードの義務化及び再交付について


続いて、一体化カードが将来的に義務化される可能性や、カードを紛失した場合の取扱いについて質問があった。


まず、一体化カードの義務化の可能性について、講師は、現時点ではそのような予定は全くないと説明した。将来的に法改正などによって制度が変更される可能性を完全に否定することはできないものの、現在の制度設計において、一体化を義務化することは想定されていないという。


次に、カードを紛失した場合の対応について説明が行われた。従来の在留カードであれば、入管窓口で再交付申請を行うことで、原則として当日中に新しい在留カードを受け取ることができた。一方、一体化カードについては、再交付までに一定の日数を要することから、その期間中に在留カードの常時携帯義務をどのように扱うのかについて質問が寄せられた。


これに対し講師は、一体化カードについては、紛失時に一体化カードそのものを再交付する制度は設けられておらず、まずは在留カード部分のみを再交付する取扱いになると説明した。その後、改めて一体化を希望する場合には、再度窓口で一体化の申請を行うことになるという。


このような制度となった背景には、在留カードには常時携帯義務があるため、一体化カードの再交付に約10日程度を要すると、その間、在留カードを携帯する義務を果たすことが困難になる可能性があることへの配慮があると説明した。


一方で、特別永住者証明書については、一体化カードの再交付が可能となっている。その理由について講師は、特別永住者証明書には在留カードとは異なり常時携帯義務がなく、また、制度上の根拠も「出入国管理及び難民認定法」ではなく、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に基づいているためであると説明した。


(5)永住許可制度の適正化及びガイドラインについて


続いて、令和9年(2027年)4月から施行予定となっている永住許可制度の適正化について、制度運用の基準や今後策定されるガイドラインに関する質問が多数寄せられた。


まず、永住許可の取消しの対象となる「故意」に公租公課を支払わなかった場合の判断基準について質問があった。これに対し講師は、現時点ではガイドラインの策定作業が進められている段階であり、具体的な判断基準についてはまだ決定していないと説明した。


出入国在留管理庁では、令和8年(2026年)夏頃を目途にガイドライン案を公表し、その後パブリックコメントを実施する予定であるという。その段階で、どのような考え方に基づいて制度を運用していくのかが明らかになる見込みであり、それまでは正式な内容について回答することはできないと述べた。


一方で、参考となる考え方として、令和6年(2024年)の入管法改正時に行われた国会審議における政府答弁について紹介した。政府は当時、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ない事情によって納税や公租公課の支払いができなかった場合については、必ずしも悪質とは評価せず、「故意に支払わなかった」場合には該当しないという趣旨の説明をしていた。講師は、この考え方は現時点で参考となるものであるとして紹介した。


また、「善良な者」の判断基準や、ガイドライン施行前の事案がどのように扱われるのかについても質問があったが、これらについてもガイドラインの公表を待ってほしいと説明した。


その上で講師は、個人的な見解であると前置きしながら、ガイドラインには永住許可審査における具体的な判断基準がすべて細かく記載されるとは限らないのではないかとの考えを示した。その理由として、永住許可審査の中核となる判断基準をすべて公開することは、制度の性質上、難しい面があるためであり、実際にどの程度の内容が公表されるのかについては、自身も注目していると述べた。


さらに、永住許可申請に係る手数料の減額・免除制度についても質問が寄せられた。参加者からは、納税義務を適切に果たしていること、犯罪歴がないこと、長期間日本に居住していることなどを理由として、手数料の減免対象となる可能性があるのかという質問があった。


これに対し講師は、現時点では制度内容がまだ決定していないため断言することはできないとした上で、個人的な見解としては、そのような事情のみで減免対象となる可能性は高くないのではないかとの考えを示した。


その理由として、新しい入管法第67条第3項では、手数料について「経済的困難その他特別の理由」がある場合に減額または免除することができる旨が規定されていることを紹介した。


講師は、この文言について、「経済的困難、その他の特別の理由」と読むのではなく、「経済的困難その他特別の理由」という表現になっている点に注目する必要があると説明した。このことから、「その他特別の理由」とは、単に納税義務を果たしていることや犯罪歴がないことといった一般的な事情ではなく、経済的困難と同程度、あるいはそれ以上に特別な事情を想定していると解釈するのが自然ではないかとの見解を示した。


ただし、講師は、これはあくまで現時点における個人的な見解であり、最終的な制度内容については、今後公表されるガイドラインや政令などを確認してほしいと説明した。


(6)育成就労制度及び日本語教育について


続いて、育成就労制度に関する事前質問について説明が行われた。まず、日本語能力要件について質問があり、講師は、育成就労制度において求められる日本語教育の修了については、認定日本語教育機関が発行する修了証明書や、日本語能力試験など所定の試験の合格証明書によって確認することになると説明した。


また、会場からは、ここでいう「認定日本語教育機関」とは、文部科学大臣による認定を受けた教育機関を指すのかという質問も寄せられた。これに対し講師は、その理解で差し支えないと回答し、制度上求められる日本語教育については、認定を受けた機関による教育課程の修了などによって確認されることになると説明した。


さらに、現在「留学」の在留資格で日本に在留している外国人が、日本語学校などで日本語を学んだ後、育成就労制度の開始後に在留資格を「育成就労」へ変更することが可能なのかという質問についても説明が行われた。


質問者からは、近年、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への変更審査が厳格化されていることから、今後は日本語学校を卒業した留学生が育成就労制度への変更を希望するケースも想定されるのではないかとの意見も示された。


これに対し講師は、育成就労制度については、現在も細部の制度設計が進められている段階であると前置きした上で、自身が把握している範囲では、留学から育成就労への在留資格変更も可能となる方向で検討が進められていると説明した。


なお、制度開始後の具体的な運用方法については、今後公表される関係資料などによって明らかになる予定であり、現時点では決定していない部分も残っていると補足した。


(7)難民等への支援機関及び就職支援について


続いて、難民認定申請者などに対する支援機関や就職支援について質問が寄せられた。


まず、難民認定申請者等を支援する機関について、講師は、RHQなどの公的な支援機関があるほか、JARをはじめとする民間支援団体や、多くのNPO・NGOなどが支援活動を行っていることを紹介した。


ただし、出入国在留管理庁としては、特定の民間団体を公式に紹介する立場にはないため、個別の団体名を案内することは差し控えたいと述べた。その上で、支援を必要とする方については、地域の状況や本人の事情に応じて適切な支援機関を探してほしいと説明した。


一方、就職支援については、全国のハローワークを利用することが可能であると案内した。また、東京出入国在留管理局が所在する外国人在留支援センター(FRESC)内には「東京外国人雇用サービスセンター」が設置されており、外国人の就職相談や就労支援を受けることができると紹介した。


講師は、事前に同センターへ確認したところ、通常のハローワークだけでなく、東京外国人雇用サービスセンターでも外国人の就職に関する相談に対応しているとの回答を得ていると説明し、必要に応じて活用してほしいと呼びかけた。


続いて、会場から寄せられた質問への回答が行われた。最後に、育成就労制度に関する追加質問があり、資料に記載されている「地域協議会」とは具体的にどのような組織を想定しているのか、自治体も参加する仕組みなのかという内容について説明が行われた。


これに対し講師は、詳細な制度設計のすべてを把握しているわけではないと前置きした上で、基本的には現在の技能実習制度における地域協議会の仕組みを引き継ぐ形になると説明した。また、運用面についても大きく変更されるものではないとの認識を示した。


さらに、資料に記載されている「100時間以上の日本語講習」についても質問があった。参加者からは、認定日本語教育機関とは文部科学省が認定した教育機関を指すのか、また、日本国内で留学の在留資格により日本語学校へ通っていた外国人が、卒業後に育成就労へ在留資格を変更することが可能なのかという点について確認があった。


講師は、認定日本語教育機関については文部科学省の認定を受けた教育機関であると回答した。また、日本語学校を卒業した留学生の多くは、現在、技術・人文知識・国際業務への在留資格変更を目指しているものの、近年は審査が厳格化していることから、将来的には育成就労への変更を希望するケースも想定されるとの質問については、制度上は可能となる方向で検討されていると聞いていると説明した。


講師は、一部の詳細な運用については現在も制度設計が続いているものの、現時点で把握している範囲では、留学生から育成就労への在留資格変更も認められる方向で準備が進められているとの見解を示した。


講師は最後に、質疑応答を通じて参加者から寄せられた具体的な疑問について説明を行い、今回の講演を締めくくった。


今回の講演では、在留外国人数の増加や出入国在留管理制度をめぐる近年の制度改正に加え、マイナンバーカードと在留カードの一体化、育成就労制度、永住許可制度の適正化など、今後の外国人受入れや共生施策に関わる重要なテーマについて幅広い説明が行われた。


また、質疑応答では、制度の具体的な運用や相談現場で想定される実務的な課題についても取り上げられ、講演内容をさらに深く理解する機会となった。


本記事では、講演で示された制度の背景や運用の考え方、質疑応答で説明された内容を整理し、外国人相談や支援に携わる方々をはじめ、日本で生活する外国人住民にとって、今後の制度理解の一助となるよう紹介した。


株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク
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