差別やヘイトスピーチと戦うための手順
- 川西ケンジ

- 5月20日
- 読了時間: 6分

近年、日本では外国人に対するヘイトスピーチや差別的投稿が急増している。SNSを中心に、外国人全体を犯罪者扱いしたり、日本社会から排除すべき存在として扱ったりする投稿が以前よりもはるかに公然と行われるようになった。
もちろん、国家が一定の秩序を維持し、法律を守らせることは必要である。外国人による違法行為や社会問題に対処すること自体を否定するつもりはない。実際、日本社会は長年、多くの問題に対して過度に無関心だった部分もある。私自身、2018年にPUTZ Networkを任意団体から株式会社PUTZ Network プツ•ネットワークへ移行した際、従来型の単なる「外国人支援」の形では限界が来ると感じていた。日本人社会側の不安や不満を無視したまま、多文化共生だけを理想論として掲げても現実社会は機能しないと考えていたからである。
しかし、現在日本で起きている問題は、「ルールを厳しくすること」そのものではない。
問題なのは、政府や政治家が「外国人犯罪」「外国人問題」「外国人による土地購入」「税金未納」などについて繰り返し強調する一方で、「外国人全体への差別やヘイトをしてはいけない」というメッセージをほとんど発していないことである。
その結果、日本社会の一部では、「外国人=危険」「外国人=問題」という認識が急速に広がり始めている。そして、それがSNS上での露骨なヘイトスピーチ増加という形で現れている。
今回掲載する画像は、Threads上で実際に起きたケースである。
1枚目の画像では、元々、外国人に対する極めて差別的・侮辱的・排外的な投稿が行われていた。その投稿には、多数のユーザーが同調し、さらに外国人を攻撃するコメントを書き込んでいた。

その後、私は以下の内容を投稿した。
「ヘイトスピーチ発見。一線を越えましたね。おめでとうございます。対処法を教えます。少し面倒だがきちんとすれば責任を取らせる事が出来ます。先ずは、法務局へ通報(https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html)。その後、警察にも通報。その後、自治体の担当窓口で通報。最終的には、民事で訴える。不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)で訴える事が出来ます。」
すると、その投稿は削除され、閲覧できなくなった。削除が非常に早かったため、元投稿全体を保存する前に消えてしまい、このような形でしか記録が残せなかった。
しかし、これは現在の日本のSNSでは珍しいことではない。多くの人が、「後で消せば問題ない」と考えている。しかし実際には、投稿が削除されても責任が消えるわけではない。
2枚目の画像は、同じ流れの中で残っていた別のコメントである。投稿者が「何も起きない」と考えていたのか、あるいは私の投稿を見ていなかったのかは分からない。しかし、このような発言が現在の日本社会で急増していること自体が問題である。

これらは単なる「ネット上の意見」ではない。外国人の人権を侵害する深刻なヘイトスピーチである。
そして、日本では依然として差別やヘイトスピーチへの対応が弱い。欧米諸国と比較しても、外国人差別に対する社会的・法的圧力は強いとは言えない。そのため、「外国人相手なら何を言っても問題にならない」と考える人間が増えている。
だからこそ、外国人自身が最低限の知識を持ち、自分を守る必要がある。
1. 感情的に反応しない
差別的な投稿を見ると、怒りや悔しさから感情的に反論したくなる。しかし、感情的な応酬は状況を悪化させることが多い。重要なのは、感情ではなく、証拠と手順に基づいて冷静に対応することである。
2. 必ず証拠を保存する
最も重要なのは証拠保全である。
スクリーンショット
URL
投稿日時
アカウント名
コメント欄
リポストやいいね数
脅迫や差別内容
これらを可能な限り保存する。投稿が削除されても、証拠が残っていれば後から責任追及できる可能性がある。
3. SNS運営会社へ通報する
Threads、X、Instagram、YouTubeなどには通報機能が存在する。
ヘイトスピーチ
差別
ハラスメント
暴力扇動
人権侵害
などとして報告することで、削除やアカウント制限につながる可能性がある。
4. 法務省へ相談する
日本には法務省の人権相談窓口が存在する。
外国人差別やインターネット上の人権侵害について相談可能であり、状況によっては記録として残すこともできる。
法務省 インターネット人権相談受付窓口
5. 警察や自治体へ相談する
内容によっては、
脅迫
名誉毀損
侮辱
プライバシー侵害
業務妨害
執拗な嫌がらせ
などに該当する可能性がある。
警察や自治体の人権窓口へ相談し、記録を残すことにも意味がある。
6. 発信者情報開示請求・民事訴訟を検討する
悪質なケースでは、「発信者情報開示請求」を利用して、SNS運営会社や通信会社に対し、投稿者情報の開示を求めることができる場合がある。
状況によっては、
氏名
住所
電話番号
契約情報
などが特定される可能性もある。
その後、不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)として民事訴訟を行うことも可能である。場合によっては、開示請求にかかった弁護士費用の一部なども請求対象となる。
7. 「仕方ない」で終わらせない
現在、日本で暮らす多くの外国人が、「日本だから仕方ない」「差別されても我慢するしかない」「問題を大きくすると自分が不利になる」と感じながら生活している。しかし、その空気が広がれば広がるほど、差別は社会の中で当たり前のものとして固定化されていく。被害者側だけが沈黙を強いられ、加害者側が「どうせ何も起きない」と考える社会では、ヘイトスピーチはさらにエスカレートしていく。外国人が安心して暮らせる社会を作るためには、「外国人だから仕方ない」という空気そのものに対して、社会全体が向き合う必要がある。
本来、移民政策の厳格化と外国人差別は別問題である。国家がルールを守らせること自体は当然あり得る。しかし、その過程で「外国人問題」ばかりが強調され、「外国人全体への差別をしてはいけない」という発信が弱ければ、多くの人々は「外国人そのものが問題なのだ」と誤認し始める。
現在の日本では、「外国人犯罪」「外国人による土地購入」「外国人の迷惑行為」などの言葉が繰り返し拡散されている。一方で、「外国人にも人権がある」「外国人全体を差別してはいけない」というメッセージは極めて弱い。その結果、SNSでは外国人に対するヘイト投稿が急増している。
しかも、その対象は一部の問題行動を起こした外国人だけではない。真面目に働き、税金を払い、日本語を学び、日本社会に適応しようとしている外国人ですら、「外国人」というだけで攻撃対象になっている。
これは、多文化共生社会そのものを崩壊させかねない非常に危険な流れである。
私たち株式会社PUTZ Network プツ•ネットワークは、今後も多文化共生社会の実現に向けて活動を続けていく。同時に、日本で暮らすすべての外国人の人権を守るため、差別やヘイトスピーチに対して声を上げ続ける。外国人である前に、一人の人間として当然守られるべき尊厳がある。その当たり前のことを、これからも諦めずに訴え続けていく。




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