国は「多文化共生」と「外国人排除」、どちらを選ぼうとしているのか?
- 川西ケンジ

- 5 日前
- 読了時間: 3分

国は「多文化共生」と「外国人排除」、どちらを選ぼうとしているのか?
~ビザ更新料5倍増案に見る、現場不在の「机上の空論」~
ここ数日、外国人政策に関する大きなニュースが立て続けに報じられました。税や社会保険の未納に対する永住許可の取り消し、そして現場運用レベルでの義務履行の厳格化。
これらについて、弊社のスタンスは一貫しています。「賛成」です。
創業以来、私は言い続けてきました。「日本人が納得する規律があってこその共生だ」と。権利ばかりを主張し、義務を果たさない者が淘汰されるのは、健全な社会のために必要なことです。
しかし、同時に聞こえてきた「ビザ更新料を欧米並み(現在の約5倍)に引き上げる検討」というニュース。これに関しては、現場を知る人間として、はっきりと申し上げます。
あまりにも非現実的であり、日本の現状を無視した暴論です。
「アメリカ並み」にするなら「給料」もそうすべきだ!!!
報道によれば、今回の値上げ案の根拠は「アメリカなどの先進国と比較して安いから」だそうです。確かに、アメリカのビザ手数料は日本より遥かに高い。しかし、物価と給料のレベルが全く違います。
今の日本を見てください。お米、ガソリン、電気代、食用油、などなど。生活必需品の値上げは止まる気配がありません。一方で、我々の給料はどうでしょうか? ほとんど上がっていません。さらに、「働き方改革」により残業規制が厳しくなり、かつてのように「残業代で稼ぐ」ことも難しくなりました。
これは日本人にとっても厳しい状況ですが、外国人住民、特に非正規雇用(正社員になれない層)が多い彼らにとっては、死活問題です。収入は頭打ち、物価は高騰。その状態で、国への手数料だけを「アメリカ基準」にしてどうするのですか?
ビザの更新料は、日本人にない費用である上に税務上控除がありません。
ビザ更新料は「税金」とは違う
私が最も懸念するのは、ビザ更新料が「容赦のない固定費」だという点です。
税金であれば、扶養家族が多ければ控除され、収入が低ければ免除される仕組みがあります。これは「担税力(税を負担する力)」に応じた公平なシステムです。しかし、ビザ更新料などの手数料は違います。収入がゼロだろうが、子どもが5人いようが、更新のたびに一人ひとり、数万円単位の現金が飛んでいくことになります。
私の知る外国人家庭の多くは、子だくさんです。彼らは確かに、所得税などの直接税は少ないかもしれません。しかし、家族全員で日本に住み、日本のスーパーで食材を買い、家賃を払い、日本経済の中で確実にお金を回しています。
この値上げは、そうした「日本で懸命に生きようとする家族」を直撃します。彼らを経済的に追い詰め、日本から追い出すことが、国の目的おなのでしょうか?
国は覚悟を決めてほしい
「ルールを守らない者には厳しくする」。これは正しい。しかし、「真面目に働いているが、決して裕福ではない者」からも金を搾り取ろうとするのは、政策として間違っています。
国は、これからの日本をどうしたいのでしょうか?労働力として、隣人として、共に生きていく「多文化共生」なのか。それとも、金持ち以外は日本にいらないという「外国人排除」なのか。
その方針がブレたまま、小手先の料金改定や厳罰化だけを進めれば、現場である地域社会は混乱するばかりです。
国が迷走している今だからこそ、私たちプッツネットワークには、揺るぎない「持続可能で現実的な多文化共生社会実現計画」があります。机上の空論ではなく、現場の痛みと希望を知る我々だからこそ描けるこの計画をもって、日本社会の未来にしっかりと貢献していく覚悟です。




コメント