top of page

外国人被害者支援の研修会に参加しました

2 時間前
読了時間: 8分
株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク
株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク

研修に参加して感じた、支援団体と通訳者の相互認知不足という課題


2026年10月31日(土)、公益社団法人全国被害者支援ネットワークが開催した「令和8年度秋期全国研修会」の分科会B-6「外国人被害者支援の実際と課題」に、オンラインで参加しました。


今回の研修では、外国人が犯罪被害に遭った際の支援について、実際の現場で活動する関係者の経験や課題などを聞く機会がありました。


研修の中では、弁護士の伊藤氏から、ご自身がこれまで関わってきた事例や現場で直面した困難、外国人被害者を支援する立場から見た課題などについてお話がありました。その中で印象に残ったことの一つが、外国人被害者への対応において、必要な言語に対応できる通訳者を見つけることの難しさです。言葉の問題だけでなく、被害者が置かれている状況や文化的背景なども考慮しながら支援する必要があり、関係機関や専門家との連携が重要になることを改めて感じました。


一方で、今回の研修に参加して、もう一つ気づいたことがあります。それは、支援団体が通訳者を探す難しさだけでなく、私たち通訳者の側にも、こうした支援団体や専門機関の存在を知る機会が少ないという課題があるのではないか、ということです。


私は日本で14年以上にわたり、通訳や外国人の相談・支援に携わってきました。警察での通訳をはじめ、裁判所や弁護士との関わり、容疑者や被告人、犯罪被害に遭われた方への対応など、さまざまな現場を経験してきました。しかし、今回の研修に参加するまで、全国被害者支援ネットワークという組織について、詳しく知る機会はありませんでした。


これまで外国人の方が困っている場面に接すると、自分にできる範囲で対応し、必要に応じて関係機関との間に入りながら、一つひとつ問題の解決を手伝ってきました。時には、自分自身が複数の機関との橋渡し役となり、支援につなげることもありました。今回の経験で思い出したのが、以前参加した長野県内の生活就労支援センター「まいさぽ」に関する研修です。


「まいさぽ」は、生活や仕事などに困難を抱えている人を対象に、相談を受け、一人ひとりの状況に応じた支援を行う窓口です。単に相談に応じるだけでなく、必要に応じて行政機関、福祉関係者、医療機関、就労支援機関など、さまざまな関係機関と連携しながら、生活の立て直しや自立に向けた支援を行っています。


以前、この研修に参加した際、私は自分がこれまで行ってきた活動と、まいさぽの支援のあり方に共通する部分があると感じました。


もちろん、制度としての「まいさぽ」と、私が個人として行ってきた通訳・相談支援は同じものではありません。しかし、外国人の方から相談を受け、問題を整理し、必要に応じて行政機関や専門家などにつなぎ、それぞれの間に立って調整するという点では、似た役割を担ってきた部分があります。


まいさぽが複数の機関や専門職とのネットワークを活用して支援を行うのに対し、私はこれまで、自分自身の経験や人とのつながりを頼りに、一人で複数の機関との橋渡しをすることも少なくありませんでした。


その意味で、当時は自分の活動を、特定の言語を担当する「一人まいさぽ」のようなものだと感じたのです。そして今回の外国人被害者支援の研修でも、同じようなことを感じました。支援を必要とする外国人がいて、専門的な支援を行う団体があり、通訳者もいる。しかし、それぞれが互いの存在や役割を知らなければ、必要なときに適切につながることはできません。


今回の研修に参加して、私自身が新しい通訳技術を学んだというよりも、これまで知らなかった支援の仕組みや、そこに関わる方々の活動を知ることができた点に、大きな価値を感じました。


今後、私が関わる外国人の方の中で、犯罪被害などによって専門的な支援を必要とする方がいれば、今回知ることができた団体や関係者につなぐことも、一つの選択肢になると思います。


外国人支援は、一人の通訳者や一つの団体だけで完結できるものではありません。それぞれが持っている経験や専門性を生かし、必要なときに互いにつながることが大切です。今回の研修は、そうした連携の可能性を知る貴重な機会となりました。


これからも、日々の通訳や相談支援の仕事を続けながら、自分自身が知らなかった制度や団体、専門家とのつながりを少しずつ広げていきたいと思います。


質疑応答で感じた、通訳者登録制度と費用負担の課題


研修の最後には、質疑応答の時間も設けられました。そこで私は、通訳者の登録制度について質問しました。


警察や弁護士会、そして法テラス(日本司法支援センター)などでは、必要なときに比較的速やかに通訳者を確保できるよう、あらかじめ通訳者名簿(通訳人名簿)を作成し、登録された通訳者に依頼する仕組みがあります。依頼する側は、必要が生じた際に登録者へ連絡して対応可能かどうかを確認し、双方の都合が合えば、日時や条件を調整したうえで通訳を依頼します。こうした仕組みについては、私自身もこれまで複数の機関で登録を行い、実際に業務を受けてきた経験があります。


そこで、外国人被害者への支援においても通訳者の確保が大きな課題として挙げられているのであれば、同様の登録制度はないのかと質問しました。


これに対して、登録の仕組みはあり、現時点では5名の通訳者が登録されているとの説明がありました。ただし、制度の具体的な運用方法や登録条件などについて、詳しい説明があったわけではありません。そのため、私自身の理解では、まだ広く整備された正式な登録制度というより、通訳者を確保するための取り組みが進められている段階なのではないかと感じました。


後日、詳細についてメールで情報をいただけるとのことでしたが、この記事の公開時点では、まだ連絡をいただいていません。


また、研修の中では、通訳者の確保にあたり、警察や法テラス、弁護士会など、すでに通訳者とのつながりを持つ機関の仕組みを利用する場合もあるという話がありました。ただし、それぞれの機関が通訳を必要と判断し、費用を負担できる場合に限られるという側面もあります。


私なりに理解したところでは、ここには費用負担という問題に加え、個人情報の取り扱いという問題も関係しているのだと思います。


例えば、警察が必要性を認めて通訳を依頼する場合や、法テラス、弁護士会などがそれぞれの業務の中で通訳を必要とする場合には、自らが管理する通訳者名簿などを活用できます。しかし、そうした機関が通訳を依頼する必要がない場合に、登録されている通訳者の個人情報を別の団体へ自由に提供できるわけではありません。特に、それぞれが異なる役割と責任を持つ機関であることを考えれば、簡単に情報を共有できない事情もあるでしょう。


そうなると、警察や法テラス、弁護士会などの既存の仕組みだけに頼ることはできず、犯罪被害者支援を行う団体自身が、必要なときに依頼できる通訳者とのつながりを確保しておく必要があります。


なお、研修後に自分でもインターネットで情報を調べてみました。全国被害者支援ネットワークでは、外国人被害者支援に関する研修のほか、通訳者バンクの登録者を対象とした実地研修などにも取り組んでいることが分かりました。


一方で、一般の通訳者がウェブサイトから簡単に応募・登録できるような全国共通の窓口や、具体的な登録手順については、今回の調査では確認できませんでした。各地域の被害者支援センターなどが、それぞれの地域の状況に応じて通訳者の確保や連携を進めているようです。


私自身、通訳や翻訳を主な業務としていることもあり、依頼があった際に対応できる可能性を広げるため、できるだけ多くの通訳者登録制度や専門機関とのつながりを持つようにしています。


もちろん、通訳は専門的な業務であり、仕事として引き受ける以上、相応の報酬が必要です。誰かがその費用を負担しなければなりません。制度によって公的に負担される場合もあれば、依頼する機関や本人が負担する場合もあります。費用の問題は避けて通れません。


しかし、それ以前に、通訳を必要としている人が、通訳者を探す方法や依頼できる窓口の存在を知らないために、通訳を利用するという選択肢さえ持てないことがあります。私は、そこが最も残念なことだと感じています。


必要なときに通訳を利用できるよう、依頼する側と通訳者側の双方が、あらかじめつながっておくことが大切です。今回の研修をきっかけに、私も長野県内の被害者支援センターに直接問い合わせ、通訳者として登録や連携が可能かどうか、一度相談してみたいと考えています。


長野県内には、認定NPO法人長野犯罪被害者支援センターがあり、長野市と安曇野市に相談窓口を設けています。


認定NPO法人 長野犯罪被害者支援センター


【長野相談室】

  • 電話:026-233-7830

  • 受付:月曜日~金曜日 10:00~16:00

  • 所在地:〒380-0836 長野市大字南長野南県町685-2


【中信相談室】

  • 電話:0263-73-0783

  • 受付:月曜日・水曜日 10:00~16:00

  • 所在地:〒399-8205 安曇野市豊科 長野県安曇野建設事務所内


※いずれも土曜日・日曜日・祝日を除きます。


同センターでは、電話相談や面接相談のほか、警察署・裁判所などへの付き添い、生活支援、法律相談、カウンセリングなど、犯罪被害に遭われた方やそのご家族への支援を行っています。


相談窓口の情報は、今後、必要な方を適切な支援につなぐためにも、私自身が把握しておきたい情報の一つです。


今回の研修で得たものは、単に新しい団体の名前を知ったということだけではありません。これまで個人として行ってきた支援を、今後はほかの専門家や支援団体ともつなげていくための、新しいきっかけになったと感じています。


今後、実際にセンターを訪問し、通訳者としての登録や連携について相談する機会があれば、そのことについても改めて紹介したいと思います。


株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク
株式会社 PUTZ Network プツ・ネットワーク

コメント


bottom of page